みんな騙し騙し生きてるんだろ

泣いて泣いて泣いて泣いたから。泣き止むために私の電話が必要なんだろう？

そう思ってＹに電話すると思いの外明るい声で拍子抜けした。

暫く毒づいてから、わあと泣き出し、「やっと泣けた」と彼女は言った。

世の中、キツイことばかりだ。

他のことはどうでもいい。

全て無くてもいい。

だから、ただひとつ。

どうかひとつの願いを叶えて欲しいと思う。

でも、そのひとつが叶わないのだ。

もし神様がいて、

「おまえの、その“たったひとつの願い”を諦めたら、それ以外の願い全てを叶えよう」

そう約束されたとしても、満たされることはない。

そういうものなんだね。

女友達は、気を紛らわす役にも立たない。

ただ「そうだね」と相づちを打つだけの仕事しか出来ない。

傷を癒すことも出来ず。猫に劣る。

その程度のものだけど。

……や、どうだろ。私が劣ってるだけかも。

なんの役にも立ってない。

そんなこと解っていながら、でも、

“なんの役にも立たない”っていう存在の大切さってあるじゃない。

あるよ。

みんな騙し騙し生きてるんだろ。

「なにかいいことないかなぁ」と思った直後、

“いいこと”ってなに？って思う。

だって、みんな死ぬまでの暇つぶしじゃないか。

大きいことをやってやろうなんて思ってないよ。

小さいことだって、思ってないんだ。本当は。

ただひとつ。安らかさだけ。

昨日から明日に、静かに瞬間を繋ぐこと。

そして、“明日が早く終わりますように”。

定時は３時間程過ぎていたけど、早く帰ってきてしまった。

今日が月曜日だなんて信じられない。