悲願の富士登山「須走コース」を振り返る(4)
富士山の話の前に、昨日「シャネル かっさ」で検索して来てくださった皆さま。ろくな情報なくてすみません。そして、再販売のお知らせ、ありがとう。私は無事買えました。後日レポートします。
13時半、六合目小屋跡を通過。
この小屋が現役だったのはいつまでだったのか気になったので調べようとしたんだけど分からなかった。10年は経ってないと思うんだけど……。
小屋跡から少し上った辺りに「廿六夜」(にじゅうろくや)の碑というのがあって、沢山の鈴が納められていた。
真上から降り注ぐ光で厳かに輝き、本当に美しかった。
完全に晴天にはならなかったけれど、くるくると変わる天候の中で太陽が丸々顔を出すと猛烈な暑さだった。問題は寒さや雨だけじゃない。改めて、富士登山では全ての天候を想定して上らなければならないんだなぁと思った。
首の汗取り用に手拭いを3枚持って行ったんだけど、写真に写るとメチャババ臭い。今回、記念的な登山で沢山写真を撮るのにこれはかなり良くないと思った。やはりスタイリストにお願いすべきだった(半マジ)。
14時10分 七合目「太陽館」(2920m)到着。
松田君が、塩不足で足が痙攣し少し長めに休む。私もここで2本目の顆粒ヴァームを飲んだ(1本目は五合目)。
井上君も高度障害が出てきた。私は自覚がなかったけど、終始欠伸が止まらなかった。それが症状らしい。 みんなで酸素を吸った。
15時 出発。前日の雨のお陰で地面が湿っていて歩きやすい。ザッザッと言う音も気持ちいい。
ふと見下ろすと雲の中の新六合目小屋が見える。あの下は雨だろうか。他人の心配ばかりしても仕方ないのだけど。
上を見て歩かねば!
標高3000m地点で井上君が記念写真を撮ってくれた。15時10分ぽい。笑ってるが、結構キツい。だって3000mだもの!
15時40分 本八合目見晴館(3200m)到着。自画撮りしてる微笑ましいカップルを横から盗撮。背景は完全に神話だ。
自分の両足が地面に着いていることを不思議に感じる世界。
もうだいぶ歩くスピードが落ちてきた。気持だけ先を急いでいく。
今夜仮眠する小屋が見えてきた。
雲が上がってきて、太陽が落ちて行く速度が早く感じる。雨が近い。
16時30分 八合目の下江戸屋(3270m)到着。疲れてる上に、小屋の周りが人だらけだったので、写真を撮る気になれなかった。
HOMER氏から、「余裕があれば、今日のうちにもう一つ上の本八合目まで行きますか?」と提案があったが、我々3人は無理だった。
小屋に入ると中は温かくて少しホッとした。やっぱり外は寒かったと思わされた。
スキー場の季節バイトみたいな兄ちゃんに、人数分の靴袋を渡され、慣れない酸素の薄さと登山靴の紐に四苦八苦していると、次々に人が入ってきた。
パーティとはぐれた人が、所在無さげに中途半端な所で立っていると、「すみません入るなら入って! 食事もチェックインもしない方は出てください!」なんて言われていた。
私たちが小屋のルールや夕食の案内を受けている間に、外は土砂降りの雨になった。小屋の人たちは裏から別の大きな袋を出し、雨の中入ってきた人たちに渡して「濡れた服はこれに入れてください!」と慌ただしかった。それにもまして、雨を受けたトタン屋根はドシャンバシャンとうるさかった。
口頭でも説明があったが、壁にも説明が書かれている。
④朝食は 弁当なので いつでも
にやたらツボった。
「朝食はいつでもお弁当です。」と書けばいいのに、何故こんなトゲトゲした書き方なのか。きっと誰かと強烈にモメたんだろうなぁ。
添乗員時代、登山ツアーは参加するお客さんの質が常に高いので、特に嬉しいアサインだった。
富士登山は、もう普通の登山じゃないんだ。このチクチクする注意書きからは、それが透けて見えた。
初めての山小屋は想像を遥かに超える狭さだった。事前に狭い狭いと聞いていたのにもかかわらずこの印象。江戸屋のサイトに「収容人数200名」と書いてあったが、「収容ドワーフ150名」の間違いだと思った。
案内された屋根裏スペースでは緊急避難時の案内もなく、皆口々に、「このスペースに客を泊めるのは違法ではないか?」と青ざめていた。
ほっとする間もない16時50分。夕飯だと呼び出される。
ハンバーグカレー。味はともかく、温かいことがありがたい。
とはいえ、小さじ1杯のポテトサラダと20mm角のレタスは、生ゴミのようで苦笑した。
奥は5名分の朝食弁当(お茶付き)。
お手洗いの所に、「手洗いでの歯磨き禁止」と言うようなことが書いてあった。たぶん自分の水筒の水でしろと言う意味なんだろうな、と思ったんだけど、聞きづらい雰囲気だったので、外で隠れて歯磨きした。雨はどんどん強さを増していた。
我々のパーティは奇数だったので、私は他のグループの女の子とひとつの布団で眠ることとなった。寝袋は各一つだけど知らない人と密着して眠るのは緊張する。
と言いながら、耳栓をして目を閉じたら程なく眠ってしまった。消灯後に中国人団体客の到着&お喋りがあって、誰もが起きたらしいのだが、全然覚えていない。
しかし、夜中に酸欠になって何度も目覚め、酸素を吸入した。明らかに人が多過ぎる。でも山小屋だから仕方ないんだけどさ。
(つづく)